2024/03/17 17:21
突然ですが…。
芳香剤や香水に使用される香料には、“ 天然香料 ” と “ 合成香料 ” があるのをご存知でしょうか。
名前は聞いたことあるけど、詳しくはあまり知らないという方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、それぞれの香料の特徴についてご紹介します。
ぜひ香りの基礎知識として覚えておいていただき、香り選びの参考にしてみてください!
香料とは?
そもそも香料についてあまり知らないよ!という方のために、まずは香料について簡単に。
私たち人間を含め地球上の多くの動物は、生活の中で嗅覚により様々な香りを感じています。
甘い香りを嗅ぎ分けて食料を見つけたり、天敵に狙われた際に刺激臭を放ったりと、嗅覚は生命活動に欠かせない大きな役割を担っていますよね。
香料とは、簡単に言うとそれらの香りを放つ物質のことを指します。
物質は揮発して小さな粒子となり、私たち動物の鼻まで届くことで香りを感じます。
では、ここからが本題です。
そんな香料には、大きく分類すると “ 天然香料 ” と “ 合成香料 ” の2種類があります。
したがって、芳香剤や香水もこれら香料をいくつも組み合わせ、一つのまとまった香りを表現しているのです。
では、それぞれにはどのような特徴があるのでしょうか。
今回は、天然香料と合成香料、それぞれについて詳しく見ていきたいと思います。
ご自身の用途に合った香りを選ぶため、違いを知っておきましょう!
まずは天然香料から、特徴をまとめました。
自然由来の香り “ 天然香料 ”
天然香料とはその名の通り、自然界の動植物から得られる香料のことです。
様々な手法を駆使して香料を抽出しますが、同じ植物でも抽出する方法や部位によって、名前や香りが異なるのが特徴です。
例えば、同じビターオレンジの花から得られるものでも、水蒸気蒸留法で得られたものは「ネロリ」、溶剤抽出法で得られたものは「オレンジブロッサム」と呼ばれ、それぞれ香りも異なります。
さらに、ビターオレンジの枝や葉から得られるものは「プチグレン」と呼ばれます。
また、動物から得られる香料もあり、それらは特に珍しいため「動物性香料」と呼ばれています。
長い香りの歴史の中でも、ムスク・シベット・カストリウム・アンバーグリスの4種類しかありません。
現在では動物保護の観点からほとんど手に入りませんが、これらも天然香料の一種です。
抽出された天然香料は「精油」や「エッセンシャルオイル」とも呼ばれ、合成香料とは名前で区別できるようになっています。
天然香料のメリット
1つの天然香料には、数十~数百種類の香り成分が含まれています。
そのため、合成香料と比べて繊細で奥行きのある香りを感じられることがメリットです。
また、天然香料同士を混合すると奥行きや深みが増すため、初心者でも調香を楽しむことができるというメリットもあります。
最近では、リラックス効果や睡眠の質向上など、天然香料を嗅ぐことで身体の調子が整うといった研究結果もあります。
天然香料の香りは、現代科学の技術を持ってしても合成香料で再現するのは難しいと言われています。
壮大な自然が生み出すものは、それほど我々にとって特別なものだということですね。
天然香料のデメリット
天然香料は、大量の原料からごくわずかしか得られないものも多く、全体的に高価なことがデメリットです。
例えば、言わずと知れた香りの王様「ローズ」は、香料1kgを得るために花が3~5tも必要だと言われます。
花で3~5tとなると、いったい何本のバラの花が必要になるのか、ちょっと想像もできないですよね…。
また、香料を抽出する気温・時期・抽出手順など、ちょっとした環境の違いでも香りが変化します。
ですので、まったく同じ産地の原料だとしても、季節によって香りに少し違いが出てしまいます。
この生き物らしさが精油の醍醐味では?とも思いますが、安定していないという面で今回はデメリットとしておきます。
では次に、合成香料について見ていきましょう。
現代科学の結晶 “ 合成香料 ”
合成香料とは、科学的手法で人工的に作られる香料のことです。
イメージとして皆さまも一度は経験あるであろう、理科の実験を想像してもらうと分かりやすいかもしれませんね。
手法としては、天然香料から香り成分を一つだけ取り出したり、石油などを化学反応させて香り成分を一から作り出すなど、いくつかの作成方法があります。
作成方法でさらに分類すると「単離香料」「半合成香料」「全合成香料」「生合成香料」の4種類に分類することができますが、長くなってしまうので今回は割愛させてください。
合成香料のメリット
合成香料のメリットは、天然香料と比べて香りが強く、長続きすることです。
種類も豊富で、天然香料にはないような香りを合成することも出来ます。
また、自然災害や気候などの外的要因に影響されにくく、安定して製造できます。
天然香料より大量に同じものを作れるので、単価が安いのもメリットとして挙げられます。
ただ、デメリットのところで記載しますが、安いといえども個人では手が出しづらいです。
ともあれ、強くて長続きする香りが安く手に入るなんて、現代科学の進歩を感じますね。
合成香料のデメリット
合成香料は、天然香料と比べて香りが単調になりやすいのがデメリットです。
理由としては、合成香料はそもそも特定の目的で生み出されたものだからです。
合成香料は、柑橘系の爽やかな香り、ローズの華やかな香り、ムスクの甘い香りといったように、天然香料の香りを参考にしてつくられます。
そのため、特徴がより伝わりやすいようにと、それぞれの香りの目立つ部分を再現する開発が進められてきました。
つまり、天然香料のような奥行きのある複雑な香りというよりは、特定の香りが強くしっかりと香るよう設計されてきた、という背景があるということですね。
もちろん、香水などはこれら合成香料を組み合わせて構成されることも多く、技術があれば天然香料にも負けない良い香りを作ることができます。
ですが、慣れていないと上手く調香できず、一つの香りだけが飛び出した少し物足りない香りになりやすいです。
また、購入が難しいこともデメリットです。
先ほどメリットとして書いたように、確かに安価ではあるのですが、基本的に「薄利多売」の業態となっています。
合成香料は大量生産されるため、香料を扱う会社向けに大量販売するという流れがほとんどで、個人的に欲しい場合も大量購入が原則となってしまいます。
(最近はネットで小売りも増えてはいますが…)
さらには、種類が豊富過ぎて、使いこなせるようになるまでにたくさんの名前を覚える必要があります。
大量購入かつ種類もたくさん覚えなければとあっては、やはり個人で扱うには少しばかり手に余る、というのが正直な感想です。
お互いに対極のようなこれら2つの香料、最後にそれぞれの特徴を比較表にしたものを貼って、終わりにしたいと思います!
まとめ
今回は、天然香料と合成香料について詳しく解説しました!
芳香剤や香水の中には、様々な香り成分が含まれていることがお分かりいただけたかと思います。
最近では、天然香料には身体への良い影響があると示す研究結果などもあり、精油を日常生活に取り入れることが注目され始めています。
公益社団法人 日本アロマ環境協会(AEAJ)のサイト上には、精油の作用についてまとめたページなんかがあります。
他にも、分かりやすくまとめた企業さんのホームページや、AEAJが発行する論文誌アロマテラピー学雑誌なんかもありますので、気になる方はぜひ一度調べてみてください!
まだまだ未知の部分も多い香りの世界。
それぞれの特徴を知っておき、皆さまも香り選びの際にはご自身に合った香りを愉しんでくださいね!