2024/03/20 18:43
日常生活で使ってはいるけど、意識することの少ない嗅覚。
実はこの嗅覚、鍛えることができるというのをご存知でしょうか。
友人のつけている香水ブランドを言い当てる人がいたり、料理の味を細かく理解できる人がいたり…。
そんな嗅覚を味方につけた人に遭遇すると、なんとなくオシャレだなぁと少し羨ましかったりします。
少なくとも、鼻は悪いより良い方がプラスになりそうな気がしますよね。
そこで、今回ご紹介するのは、嗅覚を誰でも簡単にトレーニングできる方法。
しかも、日常の中でほんの少しだけ嗅覚に意識を向けた行動を取るだけ、というお手頃なものです。
昔から鼻だけは悪くてさ…と、諦め気味のあなた。
この記事で書いた方法を実践してみると、少しずつ香りを感じられる瞬間が増えてくると思いますよ!
嗅覚が良くなることのメリット
何事もメリットが無いと、頑張ろうという気持ちにはなりませんよね。
ということで、まずは嗅覚を鍛えるメリットから簡単に。
皆さまが一番思いつくであろうメリットは、香りと味をより愉しめるようになることですね。
今まで気付かなかった細かい部分まで感じ取れることで、本当に良いものを見分けることができるようになります。
また、味に関しては、濃い味にせずとも美味しさを感じるため、微力ですが健康にも良い影響がありそうです。
ですが今回は、調香師である私からもう少し踏み込んだメリットをご紹介させてください。
科学的にまだまだ未知数の分野について話すため、興味の無い方は読み流していただいて大丈夫です!
嗅覚が潜在意識に働きかける
長くなってしまうと本題に入れないので、本当に簡単にご紹介しますね。
私たち人間は、視覚・味覚・嗅覚・触覚・聴覚といった五感を活用して、様々な情報を得ています。
何をいまさら…と思うかもしれませんが、その中で嗅覚にだけ特別な機能があることをご存知でしょうか。
嗅覚は五感の中で唯一、大脳辺縁系という本能を司る脳の部分に、情報を直接伝達する経路があるのです。
この本能の働きは別名「潜在意識」とも呼ばれ、皆さまが無意識に取ってしまう行動や突然のひらめき、直感を生み出す場所でもあります。
ここで驚きの事実ですが、なんと、私たちの意識の90%以上はこの潜在意識が占めているそうです。
つまり、あなたが起きている間のほとんどの意識は、自分でも自覚できないもので構成されている、ということです。
皆さまが思考として認識できるのは残りの10%以下だけで、その意識は「顕在意識」と呼ばれます。
つまり、なにが言いたいかというと…。
香りは私たちの意識のほとんどである潜在意識に、直接アプローチできる唯一の方法だ!ということです。
嗅覚を鍛えることで、より鮮明な情報を潜在意識に送れるようになります。
そうすると無意識のうちに、より正確に物事を処理できたり、ひらめきや直感力が鍛えられたりするわけです。
昔からある慣用句で、「鼻が効く」という言葉がまさにそうですね。
ちょっとした兆候から素早く物事に気付くことができる、といった意味で使われる言葉です。
長くなってしまうので今回はこの辺りで切り上げますが、興味のある方は「潜在意識とは」で検索してみてください。
また改めて解説しますねー!
少し脱線してしまいましたが、香りを愉しむ以外にも日常生活がプラスになる可能性がある!ということが伝われば幸いです。
信じてみて損する知識ではないので、ふーん、そんなものもあるのか程度に知っておいてくださいね!
嗅覚のトレーニング方法は?
では!
メリットが分かったところでようやく本題に移りましょう!
先にお伝えしておきます。
嗅覚を鍛えるうえで最も大切なのは「継続」です!
出た出た、苦手なやつだよ…と思ったあなた、ご安心ください。
毎日の生活に簡単に取り組め、難しいことは何も無いトレーニングをピックアップしておきました。
今回はそんなトレーニング方法を3つご紹介します。
あまり身構えず、できそうだと思ったら試してみてくださいね。
ご飯を食べる時に香りを感じる
まず、誰にでもできる一番簡単な方法から。
それは、「ご飯のときに香りを意識しながら食べる」というトレーニングです。
意味あるの?と思うかもしれませんが、一度やってみてください。
香りっていつも本当に意識してないんだな、と思うはずです。
実は、ご飯の味はほとんど嗅覚で感じている、と言っても過言ではありません。
それほど、私たちは食事において嗅覚の影響を受けています。
子どもの頃、嫌いな食べ物は鼻をつまんで食べてみなさい、と言われたことは無いでしょうか。
試しに、次のご飯のときに鼻をつまんで食べてみてください。
おそらく、しょっぱい・甘い・辛い程度しか感じないはずです。
嗅覚から得られる情報は多いのに、普段意識しないせいでその情報が脳まで伝わらない。
そこで、毎日の食事で香りに意識を集中することは、かなり効率的ではないでしょうか。
味覚と嗅覚がリンクすることで、相乗効果で食事もより愉しむことができます。
ぜひ試してみてくださいね。
歩きながら呼吸に集中する
続いて、「歩いているときに呼吸に集中する」トレーニングです。
いわゆる歩行瞑想や歩行禅と呼ばれる手法で、携帯を触ったりせず、ただ歩きながら呼吸に意識を向けるだけ。
実はこれ、嗅覚に意識を向けるトレーニングになることはもちろん、脳のストレス軽減や創造力アップに効果があるということが分かっています。
できれば、15分程度行うと効果が大きいそうです。
通勤中など日々のルーティン内に歩く時間がある方は、携帯や仕事のことを少しの間だけ忘れ、呼吸だけに集中してみてください。
ちなみに、うまく集中できなくとも、集中しようとするだけで脳には効果が見込めるそう。
また、集中しようとすることで脳内の回路が鍛えられるため、回数を重ねるごとにスッと集中できるようになってきます。
ついつい色々考えてまう方も、めげずに続けてみてくださいね。
寝る前だけは習慣として
最後に、私が一番おすすめしたいトレーニングです。
これだけでもぜひ継続して取り組んでほしい内容です。
方法は、「寝る前に目を瞑って香りを嗅ぐ」というものです。
使用するのはアロマオイルやディフューザーなど、香りがあれば何でも大丈夫です。
香りを感じながら目を瞑り、5分〜15分程度ただただ呼吸に集中しましょう。
先ほどの歩行瞑想と同じ理論ですが、「今この瞬間」に集中することで脳内がメンテナンス状態に入り、ストレス軽減や創造力アップが期待できます。
また、寝る前に香りを嗅ぐことで睡眠の質向上が期待できる、という研究結果もあります。
さらに、嗅覚も鍛えられるという、まさに一石三鳥のトレーニング。
ぜひ寝る前のこのトレーニングだけでも、騙されたと思って取り組んでみてくださいね!
ちなみに、香りを用いた習慣やその効果について、別の記事でもう少し詳しくご紹介しています。
興味のある方はそちらも読んでみてくださいね。
まとめ
今回は、嗅覚のトレーニング方法とメリットについてご紹介しました!
嗅覚を鍛えると味・香りなど日々の愉しみだけでなく、自分では制御できない潜在意識に、鮮明な情報が伝わるようになるわけですね。
潜在意識は、現代科学でも「まだ」完全には解明されていない、未知の可能性を秘めた分野です。
これからメカニズムが解明されるにつれ、いつかは当たり前とされる時代が来るかもしれませんし、来ないかもしれません。
ただ、嗅覚のトレーニング自体はそこまで大変なことではないな、と感じていただけたのではないでしょうか。
今回ご紹介したトレーニング方法を取り入れ、あなたも「鼻の効く人」を目指してみてくださいね!