2024/03/20 18:59
精油には揮発性がある、というのを聞いたことはないでしょうか。
揮発すると聞けば、なんとなく液体が気体になる想像をすると思います。
ではなぜそんなことになるのか、仕組みをご存知でしょうか。
今回は、揮発の意味について簡単にまとめてみました。
沸騰や蒸発という言葉もありますが、それと何が違うの?というところもあわせて記載しています。
では、サクッといってみましょう!
揮発とは?
揮発とは、「常温」の液体の「表面から」分子が飛び出して気体になる現象のこと。
コップに入っている水が、何もしなくても少しずつ無くなるのは、この現象が働いているからです。
それは蒸発じゃないの?と思う方もいるかもしれませんが、それについては後述しますね!
液体というのは、内部の分子同士がお互いに引っぱり合い、繋がっているような状態です。
人間に例えると、みんなで手を繋いでいるイメージです。
固体はこの繋がりがもっと強く、おしくらまんじゅうをしているような状態で、気体は一人ひとりが走り回っている状態だとイメージすると分かりやすいかと思います。
液体に流動性があるのは、ほどよく手を繋いでいるだけなので、障害物などに合わせて形を変えられるからだと言えます。
このとき、液体の中には他の分子より強いエネルギーを持つ子がいます。
その子は繋いでる手を離し、液体の表面から空気中に飛び出して走り出してしまいます。
一人で走り出している状態なので、その子は液体ではなく気体になります。
これが揮発の仕組みで、液体が気体化する理由です。
ジッとできないタイプの子って、人間以外にもいるんですね。
沸騰とは?
では、沸騰とは何が異なるのでしょうか。
沸騰とは、一定の温度に達した液体の「内部から」も分子が飛び出し、気体になる現象のこと。
つまり、一定の温度に達すると、分子たちはみんな元気になり、手を離して走り出そうとするのです。
この一定の温度は沸点と呼ばれ、分子によって温度が異なります。(水なら100℃、お酢なら118℃ですね。)
水が沸騰するのを見てみると、ブクブクと内部から泡が出ていますよね。
この泡の正体こそ、繋がりが切れて気体化した分子です。
ちなみに、沸騰すると温度上昇が止まります。
水であれば100℃で沸騰が始まり、水が全て気体になるまで温度は上がりません。
また、複数の分子の混合液の場合は、沸点の低い方の分子の温度を境に、温度上昇が緩やかになるという現象が起こります。
例えば、水とお酢を混ぜた混合液であれば…。
100℃で水の沸騰が始まると温度上昇が緩やかになり、お酢の沸点である118℃まで温度が上昇します。
水が沸騰するために熱エネルギーを多く使いますが、お酢の分子にも熱エネルギーが伝わるため、緩やかに全体の温度は上昇していくわけですね。
この原理を利用したのが蒸留酒です。
お酒によって成分が異なり味は違いますが、どのお酒にも共通でアルコールと水分が含まれています。
このアルコールの主成分はエタノールという分子で、沸点は約78℃。
したがって、お酒を加熱すると78℃の時点でアルコール成分が沸騰します。
その沸騰により気体化したアルコールを集め、再度冷やすことでアルコール成分がまた液体に戻ります。
もちろん、水分も一緒に揮発しているため、冷やしても100%のアルコール液にはなりません。
ですが、この作業を何度も繰り返すと、アルコール度数の高いお酒になっていきます。
この作業のことを蒸留と呼び、蒸留することで少しずつ味も無くなっていきます。
アルコール度数の最も高いお酒はスピリタスというお酒で、ほとんど消毒液のような香りです。
飲むと唇の水分が無くなり、体中が燃えるようにアルコールがまわります。
はい、私のお酒好きのせいで少し脱線してしまいましたが、以上が沸騰の仕組みでした。
蒸発とは?
では最後に、そしたら蒸発ってなんなの?ということについて触れておきます。
実は、この蒸発がかなり厄介で、人によって解釈が違うせいで混乱を招く言葉だと言えます。
日常生活で聞き慣れていることもあり、色々な意味で使われてしまいます。
主に用いられるときは、次の3つを示すことが多いようです。
①揮発と同じ意味(言い換え)
②水の揮発という意味
③液体が気体になる現象全般のこと(揮発よりも広い意味)
だいたいこの3つでしょうか。
①と②は揮発と同じ意味ですが、混乱する原因は③です。
正直なところ、どっちでもいいわ!という方が多いと思いますが…。
この③の使用例としては…。
料理をしていると、水が沸騰する前なのに鍋底から小さい泡がフツフツ出ていることに気付きます。
したがって、この子たちは気体化しているわけですが、見た目は「内部から」分子が飛び出してきている状態ですね。
ですが、「沸点」には達していないため、揮発とも沸騰とも呼べないわけです。
そこで、その現象を表すのであれば、蒸発が一番適任じゃない?というような使い方です。
あまりこんなシーンに出くわすこともありませんが…。
私個人の意見としては、全ての状況を網羅できるよう、蒸発は③の意味として認識するようにしています。
ただ、これには特に正解は無いため、前後の文脈から判断するしか無いと思います。(専門家の方は別かもしれませんが…)
また、後ろに「性」がつくかどうかも違いの1つです。
揮発性とは言いますが、蒸発性とはあんまり言いません。
どれくらい気体になりやすいかを示す場合は「揮発性」と呼ぶ、ということを覚えておきましょう。
まとめ
今回は、揮発の仕組みと、それに近い意味で用いられる沸騰・蒸発について、日常生活を例に出しながら解説しました!
実は、精油はこの揮発性がとても大きな物質です。
だからこそ、気体になって私たちの鼻に香りを届けてくれるわけですね。
たくさん脱線しましたが、一番覚えておいてほしいのはこの揮発の仕組みの部分です。
当ショップで販売しているリードディフューザーは、この揮発の仕組みを最大限活用したアイテムです。
より質の高い香りを皆さまに届けるため、スティックの長さや香りの配合などなど、細部まで何度も試行錯誤しながら設計しています。
化学が好きな方は、ブランドごとの香りにどんな違いがあるのか、一度香り比べをしてみてください。
眼に見えないところで起きている出来事、少し知るとどんどん楽しくなってくるかもしれませんよ!
ほんとのほんとに余談ですが…。
今回の記事の挿絵、いつにも増して特徴的ですよね。
実は、当サイトの絵は全て社長一人で描いているのですが、今回は特に鬼才ぶりを発揮してきました。
いつもはなんとなく伝わるので解説しませんが、今回ばかりは何が言いたかったんだよ!という声が聞こえてきそうなので、特別に少しだけ挿絵の解説をさせていただきます。
社長曰く、今回の動物のシルエットは、揮発・沸騰・蒸発それぞれの漢字から連想されたイメージ像なのだそう。
漢字見るとこの動物浮かんでくるくない?と真顔でおっしゃっておりました。
はい、分かります。あなたの気持ちは痛いほど伝わります。
分かるか!そんな深い意味無いんかい!となった方、ごめんなさい。
普段は少し不思議ながらも、意味が分かると納得できる絵なのですが、今回ばかりは許せませんよね。
ちなみに、私が最初に見たときは、空(つまり気体)に近い順番に表現したのかな、と思いました。
感性は人それぞれですので、それぞれの感じ方で大丈夫ですよ。
今後は社長の絵も楽しみの一つとして、温かい目で記事を読んでいただければ幸いです。
最後に、なぜか社長がボツにした絵を貼って、今週は終わりにしたいと思います。
ではまた来週!